ようやく暖かさがあらわれて日曜日にお天気がいいと、
なんとなく穏やかな空気感が街をおおっている。
春が近づいてくると自然と身体を動かしたくなってくる。
不思議なもので植物と同じように、人間も意思とは関係
なく思いのほか気温に振り回されているのだ。
料理を始めてからもう25年もの月日が経っている。
果たして上達しているんだろうか。
美味しさを追求できているんだろうか。
思うような結果を出せているんだろうか。
お店をしているくせにいつまでたっても自信がない、
と言っていいものなのかどうか。
そんな心持ちとは裏腹にお客様は料理を口に運び、
美味しい美味しいと絶賛してくれる。
テイクアウトではなくゼロ距離で温かい料理を食べてもら
えることは、作り手としては最高のおもてなし。
その反応もまたゼロ距離で返ってくる。
意外と自分にとって当たり前にできていることは、
他者から見てすごいことだったりする言う。
事実、料理を作っている時は頭で考えるというよりも、
自然と身体が動いて作っているような感じ。
別に星つきのレストランでもないし、
メディアに取り上げられるわけでもないし、
積極的に宣伝もしていないから認知度もそこそこ、
でもまがいなりにも今まで料理を作ってきた長い時間は、
そう簡単に誰かに抜かれるものではない。
自分が自然にできていることをもっと俯瞰して見てみよう。
そうしたらもう一人の自分が褒めてくれるかもしれない。
晴れた日曜がぼんやりと自然にそんなことを思わせる。