去年の6月に作ったレシピ本、売る気もあまりなく店頭に
サンプルとして置いてるくらいだったけど、たまに買って
くれるお客様がいて気づけば残りわずかになってきた。
限定300冊で作ったのでなくなったら終了。
その動機は、たくさん売れる自信がなかったのもあるけど、
買ってくれる人にレア感を味わってほしかったから。
北は北海道、南は九州までお店に来たことのない人まで、
SNSで知って応援してくださり本を買ってくれたことが、
とてもうれしかったことを昨日のように思い出す。
本作りにかけた時間は計り知れない。
成果がすぐには出るものではないので、前に進んでいる
実感がなく大変だったことも同時に思い出す。
料理とは正反対の仕事の方法だ。
形として残るものと残らないもの。
費やした時間が資産になっているかどうか。
この資産をつくるという考え方は、これからの不安定な
時代を迎える中でとても重要になってくる気がする。
自分にしかできないこと、なら尚更よい。
料理の世界で言えば、自分でお店をしていたら
お客様との信頼関係が資産になるだろうけど、
どこまでいっても身体が動いてこそ料理を提供できるので
あって病気になってしまったり、今回のようなコロナで
営業ができなければ関係は途絶えてしまう。
ダイレクトにお客様から美味しいという反応がもらえる
ことは大きな利点だけど、後になって価値をもたらしてく
れるような自分だけの資産をつくる意識を持ち合わせてい
るにこしたことはないと思う。
それを考えるとレシピ本をカッコつけて数量限定にしたこ
とを少し後悔していたりする。
料理をしている人が本以外で資産をつくれる道はないもの
かといつも考えあぐねいている。