飲食店はいろんな人が出たり入ったりする場所。
老若男女、職業問わず多くの人と関わり合う機会がある。
その上、相手の身体の中におじゃまするくらいだから、
サービス業の中でも特に細胞レベルで心が通い合える
人間味のある素敵な仕事だなあと思う。
でも全員が全員に美味しいと言ってもらえるのは、
とてもむずかしい。
絶対的な美味しさはないし、味覚は人それぞれ。
人の相性もあれば、舌の相性もある。
お店をしている中で、よく知っているお客様が
来なくなるとけっこう傷ついたりする。
常連様も入れ替わっていくというのが、業界のセオリー
ではあるけど、気にしすぎるタイプゆえせめてどんな
理由で来れなくなったのか知りたくなる。
遠くに行かれたのか。
飽きてしまったのか。
美味しくなかったんだろうか。
ある意味、研究熱心だけど、
そんなことをいちいち考えてても仕方ない。
目の前のお客様に全力で取り組むことがほぼ正解だ。
注文が少ないとへこむ日もあるし、
予想以上に待たせてしまって反省する日もあるし、
思うようにいかない日なんて日常茶飯事。
でも、たとえわずかでも
美味しいといってくれる人、
応援という意味合いで利用してくれる人、
友人におすすめしてくれる人、
話しかけてくれる人、
少しでもわかってくれる人がいるだけで救われる。
つらい時はそんな人たちの顔を想像するようにしている。