見えない時間にこそ

お店をしていたら定休日と言えど食材の仕入れや備品の

買いものに時間をとられる。

小さなお店をしている人なら多くの人に共感してもらえ

るはず。

仕事と休日の境界が実にあいまいな世界だ。

お客さんから見えないところに時間がかかっている。

(それが大変だからわかってほしいというアナウンスで

はありません)

料理を作るという行為そのものも同じで、お客さんに

出す一皿になる前には、食材の下処理や準備にたくさ

んの時間がかかっている。

見えないところに準備を施す丁寧さは、極めて日本的

な美意識でもある。

そう考えると何も料理だけではなく、いろんな商品の

裏側にはたくさんの人の時間がかかっていて、想像する

と感慨深い。

普段からそんな視点でいちいち感情移入もしてられない

ので、多くの人々はさらっと受け流す。

ましてや情報が多くて忙しい現代社会で、時短やAI化が

進む中、商品の背景を想像する時間の余裕は限られて

いる。

わかりやすさを求め、情報の上澄みだけをすくうよう

な傾向になってきているように感じる。

深く背景を知って想像する方が人間っぽくて有意義なの

になあと思うけど、時代の流れに逆行しているのか、は

たまたこれは個人的趣味なのか。

IT革命で生産性が爆上がりな仕事が増えて、富もそち

ら側に集中していくようになった。

料理単体で見ると調理家電の技術が生産性を高めてい

るけど、野菜や魚や家畜を育てるのはどこまでいっても

時間のかかる作業だ。

その時間のプロセスがあるからこそ本当の美味しさが

生まれると信じている。

時代遅れかもしれないけど、ぼくは手作りをやめられない。

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