飲食は楽しい

そう、飲食は楽しい。
飲食する方も飲食を提供する方も。
だからお店を始める人が多いし、それに誰でも簡単に始められる。
でも楽しいというのは魔法のようなもので、裏にある大変さを見えにくくする。
現実とのギャップに気づき続けられないことで、廃業率は業界でもトップクラスだ。
振り返れば自分も飲食は楽しいから始めた。
あと先も考えずに目の前の楽しいを優先した。
お客様からの美味しいという反応、承認欲求はもともと人間に備わっているもので、それが何よりも足りない心を充実させてくれた。
決してよくない労働環境の中で、そんな世界が当たり前だと思い、ひたすらに美味しい料理を作ろうと日々励んでいたあの頃が懐かしい。
技術は見て盗むという風潮の中、こっそりつまみ食いをしてみたり、お客様から下がってきたお皿のソースを少し味見をしてみたり、厳しい環境を乗り越えてこれたのは根底に飲食の楽しさがあったから。

時代の価値観は変わっていく。
生産性の高い仕事がどんどん増えていき、その流れで働く環境をよくしようという改革は単純に労働時間の短縮を求めてくる。
料理を作るのってそう単純に時間を縮めれるものでもない。
同じ業界のいろんな人が、どうしたら飲食において生産性がよくなるのか頭を悩ませている。
今となっては職業の選択肢も増え、飲食業界の人手不足は数年前からの社会問題。
ネットによる透明性で楽しい魔法の効力も弱まってきているように感じる。
働き方をどう変えればいいのか。
どうしたらもっと価値を高めれるのか。
まだまだ答えは見つからないけど、考える余地はありそうだ。

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