未熟ものでいい

もうすぐ二十歳を迎える息子が、ため息まじりに放った「こんなにも未熟なのに二十歳になっていいのか」という言葉。
そこには自分に対する自信のなさや将来への不安が存分に含まれていた。
小室哲哉は、”teen”のつく13歳から19歳の過ごし方で、その後の人生がほぼ決まると言っていたような。
たしかに10代の時間は多感で影響も受けやすく、何を見て何を感じたかは、人間の根底を流れる考えとしての土台が作られていく。
余計な分別をせずに付き合った友人は、たとえ不合理でも長く続きやすいし、その頃によく聴いた音楽は大人になっても歌詞を忘れていなかったりする。
ほとんどの10代の若者は社会のルールの範囲内で過ごしていて、圧倒的に経験不足で、選択肢が多くなったとはいえ、その中からより自分に合ったものを見極めれる能力なんてそう簡単には見つけられないはず。
SNSが当たり前にあって、デジタルが習慣化している生活について、実体験のない親世代が言えることはとても少ない。
息子の話を聞いていて、周りの目を気にしてしまう素振りや、自己表現としての発信を躊躇ってしまう言動に悩めるティーンエイジャーの総意が垣間見えたような気がした。
答えはひとつ、やっぱり行動するしかなくて、それから考えるしかなくて、失敗をしながら改善していくのが遠回りなようで近道だったりする。
迷いの中で選んだ道、二十歳に向けて一歩踏み出せたことがなによりよかった。
周りにどう思われようと自分の美学を貫く方がかっこいい。
成熟という自覚は思考停止だから死ぬ前日までは未熟ものでいいと返しておいた。

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