薄いアルミの鍋よりも、ストウブやル・クルーゼといった分厚い鋳物ホーロー製の鍋で煮物をするとやっぱり美味しさが違います。
だし巻き卵や天ぷらをするのにも、テフロンなんかより銅製の鍋の方が美味しく仕上がります。
炭焼きをするときも木炭より断然に備長炭の方が美味しいです。
どれもに共通するのは熱の伝わり方で、温度の上昇に時間はかかるものの、熱を帯びたならばそれは一定の温度で長持ちしてくれます。
料理において火の入れ方はとても重要で、食材の質だけでなく道具や媒体によっても味は大きく変わってきます。
食感もしっとりとやわらかく仕上がるのは本当に不思議です。
これらのことを抽象化すると、急がずにゆっくりと時間をかけるといいものができる、ということだと思います。
短期的な視点で物事を見るとどうしても結果を急ぐことになるので、どこかで無理をしてしまい何かを犠牲にしてしまいかねません。
特に大きな会社になると株主から結果を求められるので、決算時期が細かく設定されていたりします。
従業員にお給料も払わないといけません。
決して悪いということではなくて、できることに制限がかかってしまうということです。
常々いろんな人に質問したいと思うのが、「世の中にお金という概念がなかったとしたら何がしたいですか?」
生きていくためにはお金が必要で、将来が心配なのもお金の不安で、何かにがんばって取り組めるのもお金のためだったりで、短期的な視野とお金は密接に関わっているような気がします。
いずれはお金の心配をしなくても生活できるほど世界は豊かになっていくと思われます。
今でも日本は生活保護というセーフティーネットが整っているわけです。
ゆっくりと時間をかけるといいものができるんです。
ゆっくり熱を入れていくと美味しくなるのはわかっているんです。
どんな料理がしたいですか。