西へ向かうと時間が巻き戻される。
余分に生きてるような気がするけど、そうでないのが時間の不思議なところ。
地球の影を追いかけるようにして長い長い夜を過ごした。
大地と空の間にいるということはつまり星に近いということ。
今までに機会はあったかもしれないけど、それに気づける感性が足りなかったのか、生まれてはじめてというレアな形容詞を使えるくらい、幾千もの星の量が目の前に広がっていた。
しかもその景色は夜の間、横にスクロールし続けていく。
他の何にも見惚れるという言葉を使ったことがないくらいにずっと見ていて飽きなかった。
周りの人はほとんど寝ている。
同じ景色を見て同じことを思う人はどれくらいいるんだろう。
世界は唯(ただ)そこにあるだけ。
何を見て何を感じるかは文化背景が違えばより人それぞれ。
きっとこういう時に同じシーンを誰かと共有できることが人間にとっての大きなよろこびなんだろうなあ。