答え合わせな目的

インスタ映えという言葉があるように、最近は見た目や見栄えがどんなことよりも優先されているような気がする。

何度も撮れるクオリティの高いカメラが一人一人の手に渡ったことも大きく関与しているだろう。

お店に食べに行って料理が出てきたらまず写真を撮る。

そんな風景が当たり前になってきた。

中にはとりあえず撮ってる人もいるに違いない。

誰かが発信した美味しそうで映えている料理を見て気になって自分も訪れる。

実際に訪れて出てきた料理を見て写真を撮って満足する。

料理だけではなく観光名所も自然の景色も前もって画面で見ていたものを、実際に自分の目で見て確かめる。

答え合わせが目的になっていないか。

なんとなく大切なことがすっぽりと抜け落ちているような気がするのは気のせいだろうか。

料理を作る人も、観光名所を仕掛ける人も、映えを優先にしてしまうのは良くないと思う。

そこには自分の頭で考えるという行為が省かれている。

きっと答えまでのアクセスが容易になったから。

今は答えがすぐにわかる時代。

検索すればわかるから覚えようとしない、考えようとしない。

なぜそうなってるのか、どのような論理を辿って結果として表れているのか。

考えなくても生きていける。

ショートカットすることでで生まれた時間は本当に有効に使えているのだろうか。

コスパからタイパへ。

時間は有限で大切だけど余った時間を楽なことばかりに使っていたらみんな空っぽな人間になってしまいそう。

どう感じるか、どう考えるか、は人それぞれなのでいろんな解釈があっていい。

本当の目的は何なのか。

相手が望む意図は何なのか。

そんな想像や空想が物事に奥行きをもたらせてくれる。

事前に答えがわかっているならわざわざ行く必要もなくなってしまう。

それでも料理は食べないとわからないのでぜひ行ってほしいと思う。

できればあまり事前情報を入れすぎずに行ってほしいと思う。

リアルな場所でしか体験できないこと。

空気、匂い、温度、風、表情、ふれる、食べる、感じる。

それらの情報を得る前から答えがすでに用意されているのはなんだかもったいないなあと思う。

もしかしたらこんな時代だからこそリアルの価値が再発見されるのかもしれない。

楽な方に流されるか、立ち止まって流れに逆らうか。

常に時代は人を試すような試練を与えてくれる。

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