職人とクリエイター

職人という言葉には、一つの技術を極めている人、どれも手仕事、というニュアンスが含まれているように思う。

伝統工芸や飲食の中でも細かく分類された単一のものを指すことが多い。

漆やガラス細工、寿司や蕎麦、数え上げたらキリがないけど、機械化が進んでいるとはいえ、その道を突き詰めている人は心の底から尊敬している。

よくお客様からは職人気質だと言われるけど、自分の認識ではどうもしっくりこない。

頑固さや融通のきかなさは歳を重ねて丸くなったし、自分の仕事に誇りや自信を持っているかと言われると全力で肯定もできないような中途半端さだ。

それに一つのことを極めるという作業がどうしてもできない。

そういえば料理のジャンルひとつとってもなんとか料理を専門に学んだ経験はなく、フラフラと転職を繰り返していた。

そういえば自分のお店を持つにも何料理がしたいのかずっと悩んでいたことが懐かしい。

一つのことを極めて継続することがこの国では美徳とされているので、それができないことにコンプレックスさえあった。

でも職人が正解ではない。

職人さんは自分の特性や性質を最大限に活かした結果がそのような仕事であったというだけのこと。

飽き性も裏を返せば好奇心旺盛ってことだし、変化を恐れないとも言い換えれる。

いろいろと試してみるものの思うようにいかないことの繰り返しなんだけど。

手持ちのカードで何ができるか、それを使ってどうアウトプットするかは表現やクリエイティブな作業に近い。

クリエイターは職人にも似ているけど、職人はクリエイターという大きなくくりの一部であるような気がする。

クリエイターは技術もそうだけど気持ちの部分を何かの媒体に落とし込む。

アートやデザイン、音楽や文学など芸術全般を指している。

なにも専門でなくても料理だってそう。

抽象化するならば表現の方法と言えるのかもしれない。

自分の気持ちをどの表現方法を使ってアウトプットするか。

心の叫び、おぼえる違和感、社会への問いかけ、変わってほしいこと、伝えたいこと。

職人にはなれないけどクリエイターではありたいと思う。

それこそが人間らしくて生きてる証であるような気がする。

もしくはその道でしか生きれない人が一定数いることもたしか。

クリエティブのひとつひとつはだれかのメッセージでできている。

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