直感が身体を動かす

料理において盛り付けは美味しさと大きく関係している。

お客様からその盛り付けを褒められることが多い。

そんな風に言ってもらえると嬉しいのだけど、自分ではこれといった法則はなく感覚によるところが大きい。

なので人に教える時とか説明を求められると困ったりする。

感性やセンスは再現性と両極にあるような気がする。

同じレシピでも作る人によって味が違うように、言葉では表現できない身体を使ってでしかわからない領域が存在してると思う。

身体が自然に反応すること、感じていること、料理とはそんな部分を使って味付けや盛り付けをしているような気がした。

おばんざいという和食の企画は、らしさこそないものの、こと盛り付けに関しては今までの経験が表出したような感じだった。

どの場所にどの料理を配置したら美しく見えるか。

頭で考えるよりも手が、身体が自然に最適解を示してくれる。

あらためて不思議だなあと自分を俯瞰して見るきっかけになった。

おそらく今までに見てきた景色のすべては記憶にはないものの、少なからず身体の方が多く覚えているのでは、というひとつの仮説が立てられる。

自然とできること、内発的な行動、湧き上がってくるもの、意志を超えた何か。

それらは「直感」という一言でまとめられるかもしれない。

直感とは、天から舞い降りたものというより、過去の経験則から導き出される最適解だとよく説明されている。

自分自身が体験したこと、経験したこと、見たもの感じたものすべての中から、脳が瞬時に適切な答えを用意してくれる。

その点については概ね同意だけど、脳よりも先に身体が反応してると思う局面が料理の仕事をしていてよく思うことがある。

そのひとつが盛り付けに現れていて、考えるよりも先に身体が動いているのは、無意識下ではたらいている過去の景色がそうさせている。

どうしたら直感を研ぎ澄ませるかは、やっぱりいろんな情報や景色をたくさんインプットしておくことが大事なんだとあらためて思った。

料理や盛り付けはロジックでななく直感が多く活きている。

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