生きているうちにたくさんの人と関わる上で、大切な人と呼べるのは何人くらいいるのだろう。
家族や友人や恋人における好きな人、とはまたニュアンスが違うような気がする。
なんとなくもっと深い心と心のつながりが含まれている。
もしくは「守る」や「味方でいる」といった受容の精神や利他的な行為を内包するものかもしれない。
自分の人生を捧げてもかまわない、たとえ悪人であってもその存在を肯定できる、そんな人。
大切であるということは合理性や社会性、計算不可能な領域のことを指すのではないか。
少したいそうだけど「真実の愛」と言っても過言ではない。
社会の中で生きていたら、みんな等しく時に理不尽な場面にぶつかるもの。
納得いかないこと、思うようにいかないこと、理解できないこと、大人の集まりは意志をこえて自然とルールができあがっていく。
決まりごと、いいこと悪いこと、人をまとめるにはどこかでルールの線を引かないと統率が取れなくなってしまう。
それでも本当の大切さはルールの枠にはおさまりきらないほど、崇高で曖昧で甘美なものだと思う。
人間を人間らしくさせている重要な一要素だと思う。
たとえば、目の前の成功(お金や名声)と大切な人を失うことの選択肢を突きつけられたらどっちを選ぶだろう。
世の中には簡単に手に入らないものがある。
信頼や関係性を築いてきた時間はお金で買えないにもかかわらず、おろそかにしがちなのが人間の煩悩でもあったりする。
時代や社会の流れは人間らしさを奪っているのでは、という危機感を持っているので、大切な人がいると言えることは自分の人生にとっても大事なことだと思えた。
この映画からは大きなテーマとしての人間讃歌を感じた。